SCP-1706-JP

태그: 안전 scp jp 공저 충동·강제 기억조작 도구

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SCP-1706-JP

일련번호: SCP-1706-JP

등급: 안전(Safe)

특수 격리 절차: SCP-1706-JP는 제8181기지의 저위협도 물품 보관 로커에 격리되어 있다. SCP-1706-JP를 이용한 실험에는 4등급 이상의 인원 2명 이상의 허가가 필요하며, 또한 실험에 따라 SCP-1706-JP를 이용해 구타를 가한 대상 및 구타를 받은 대상에 대하여서는, 현재 경과 관찰이 실시되고 있다.

설명: SCP-1706-JP는 길이 318 mm, 머리 지름 22.2mm, 두부는 금속, 손잡이는 나무로 구성되어 있는 네일 해머이다. 외견적으로 노화 현상은 나타나나 일반적으로 유통되는 네일 해머와 동일하며, 후술할 변칙성 이외의 목재 등에서에서의 특이점은 보이지 않는다.

SCP-1706-JP는 금속 부분의 타격하는 면을 이용하여 타격을 가할 시, 해당하는 물체를 수리·수복한다. 가해진 대상의 물리적 손괴뿐만 아니라 연소 등의 화학적 반응에 의한 손괴도 수복되며, 복수의 파편으로 나뉘어 있을 경우 알려지지 않은 작용으로 파편이 타격이 가해진 대상에 붙어서1, 나뉘어진 부분은 접합되어 완전히 수리된다. 더하여, 한번 SCP-1706-JP로 수리된 물체는 스스로에게 가해진 손괴를 무효화하는 내성을 갖는다. 또한 생물에 대하여서도 이는 동일하게 작용하며, 육체의 손괴뿐만 아니라 질병도 회복되나 목숨이 끊어진 생물을 소생시키는 것은 불가능하다.

부록: SCP-1706-JPは2016年8月27日に発生した不可解な事故の捜査中にその存在が明らかになりました。事故当日の20時頃、██県██市に位置する金山 大悟氏の自宅が突如として崩落し、金山 大悟氏及び妻の金山 文江氏が崩落した家屋により圧死しました。この崩落事故の原因について、当初は施工不良等によるものと思われていましたが、調査の結果、住居の崩落は1階リビング部分へ加えられた非常に強い衝撃が原因であると判明しました。その後、事故現場の状況2から、この崩落事故に何らかの異常存在が関与している可能性を考慮し、財団が金山氏の自宅跡の調査を行ったところ、リビング付近の庭に落ちていたハンマーが異常性を保有していることが発覚したため、ハンマーはSCP-1706-JPとして回収されました。しかしながら、当初明らかになったSCP-1706-JPの異常性からは崩落事故との関連性が見出せなかったため、その後再び金山氏の自宅跡を調査した結果、金山 大悟氏の息子である金山 伸哉氏の自室跡から、伸哉氏本人によって書かれた日記が複数発見されました。

以下は伸哉氏の日記の抜粋です。

7月23日 日曜日

今日は近所の山へ虫とりに出かけた帰りに、山の中でカナヅチを見つけた。なんでこんなところにカナヅチがおちてるんだろうって思ったから、家にもって帰ることにした。自由けんきゅうは、こん虫さい集にするつもりだったけど、木のいたとクギをお父さんからもらって、このカナヅチをつかって本立てを作ろうかな。

でも、なんで山の中なんかにカナヅチがおちてたんだろう。だれかがおとしちゃったのかな。それともすてちゃったのかな?

7月26日 水曜日

今日はとなりのユキくんたちと公園でオニごっこやサッカーをして遊んだ後、お母さんのお使いに行った。近くのスーパーで、しょう油と、タマゴと、食パンと、ソラのドッグフードを買った。ソラはごはんをたくさん食べるから、その分たくさんかって帰らないといけない。

お母さんは、たくさん食べさせたらちゃんとソラをさん歩させなさいって言ってた。お母さんの宿題の日記はめんどくさいけど、ソラのさん歩は毎日やりたいくらいだ。ソラは、ぼくが帰るといつも一番にむかえに来てくれる。さわるとふわふわで温かくて、ほっぺたはぷにぷにしてる。ソラはかわいいなあ。

7月28日 金曜日

今日はお母さんが出かけるから、お母さんの代わりにおばあちゃんの面どうを見た。おばあちゃんは病気で、ずっとふとんで寝てる。一日中せきをしていてつらそうだ。病気の名前は、がんって言って、病いんじゃなくて家にいる理由を聞いたら、お母さんは、もういいんだよ、おばあちゃんはお家でお母さんたちが面どうを見てあげたほうがいいのとしか言ってくれなかった。

おばあちゃんはお手玉が上手で、よくアヤカとぼくに見せたり教えてくれたりしてた。早くよくなって、またぼくたちにお手玉を教えてほしいな。また元気な顔をしたおばあちゃんが見たい。

7月30日 日曜日

今日は本立てを作っているときにふしぎなことがあった。本立てを組み立てて山でひろったカナヅチでクギを打ってたら、間ちがえて板の方を叩いちゃった。そうすると、板にはまってたクギが抜けて、クギ穴がぴったりふさがった。クギを打ち直そうとしても、クギはぜんぜん入らなかったし、板はつるつるのまま。なんでだろう?

けっきょく、お父さんから他の板をもらって本立てを作った。お父さんは、お父さんが手伝えば本立てよりずっとすごいものを作ってやれるぞって言ってくれたけど、ぼくは自分の力でやるよって答えた。お父さんは、ノブヤはえらいなって大きな手でぼくをなでてくれた。ぼくはとってもうれしかったし、自分でもっとすごい物を作りたいと思った。

7月31日 月曜日

今日は、きのう本立てのクギ穴がふさがったのは、山で見つけたあのカナヅチのせいかもしれないと思って、山でためしてみることにした。ぼくは、折れたエンピツと、やぶれたマンガと、ツノが取れちゃったカブトムシをカナヅチで叩いた。そしたらエンピツは元どおりになって、マンガは買ったときみたいに直ってた。カブトムシは、取れたツノがくっついて、なにもなかったみたいに飛んだりしてた。

山で見つけたカナヅチは工作には使えなかったけど、もしかしたらすごい物なのかもしれない。カナヅチのことは、ぼくとソラだけのひみつにしよう。

8月10日 木曜日

今日、やっとひみつ基地ができた。そう庫にあるお父さんの道具とか材料をこっそり持って行って、ユキくんとハルオといっしょに作った。お父さんに道具の使い方を教わっててよかった。基地の床にはゴザをしいて横になれるようにしたし、屋根があるから雨とか風も気にならないと思う。でも、ちょっと入り口をせまくしすぎちゃったかな?

ぼくたちは基地におかしやジュースを持って来たり、マンガをみんなで読んだりした。このひみつ基地は、ぼくとユキくんとハルオとソラの、三人と一匹だけのひみつ基地だ。お父さんに手伝ってもらわなくても、こんなすごいひみつ基地を作れたことが、とってもうれしかったし楽しかった。

8月11日 金曜日

今日はお母さんからの宿題の九九カードと漢字練習ノートをやった。お母さんは、学校のだけじゃ足りないし今のうちに覚えた方がいいって言ってたけど、まだ習ってない漢字までやんなくてもいいと思うんだけどなあ。

宿題をキリのいいとこまで終わらせて、戸だなからコップを取り出そうとしたら、お母さんが大事にしてるコップを落としてヒビを入れちゃって、アヤカはびっくりして泣いちゃった。ぼくは山で見つけたカナヅチのことを思い出して、お母さんが買い物から帰ってくる前にカナヅチでコップを叩いて直して、泣いてるアヤカをあやしつけた。カナヅチがなかったら、ぼくはお母さんにめちゃくちゃおこられてただろう。この日記をお母さんが読まなくてよかった。

その後、アヤカはお母さんに、じゅう道の動画を見せてもらって、ぬいぐるみを相手にマネをしてた。ぼくはアヤカに、じゅう道が好きなのって聞いたら、アヤカはやっぱり、好きって答えてくれた。アヤカは、じゅう道せん手になるのかな。

8月14日 月曜日

今日はおぼんだったから、お父さんとアヤカとぼくで、おじいちゃんのおはか参りに行った。おはかは家の近くだけど、だれかが家でおばあちゃんを見とかないとだから、ぼくたちはお母さんの後に行った。

おじいちゃんのおはかには、親せきの人もいて、だいぶ前からあるみたい。だから、石が欠けてたり、ちょっとかたむいてたりしてた。ぼくは、そんなのじゃおじいちゃんたちがかわいそうだと思ってたから、今年は山でひろったカナヅチを持ってきて、お父さんとアヤカにバレないように、おはかを叩いて直してあげた。おじいちゃんたち、よろこんでくれるといいな。

8月16日 水曜日

ソラが車にひかれた。夕方ソラの散歩に出かけてた時、ぼくがおもちゃ屋さんのおもちゃを外から見てたら、ソラのリードを放してたみたいで、大きな音が聞こえて、ソラの足が車にぺしゃんこにされちゃってた。車はどこかへ行っちゃったし、ぼくは、ソラしんじゃいやだって泣きそうになった。

でも、きっとあのカナヅチで叩けば直してあげられると思って、急いでソラを家の前まで運んで、いっぱい叩いてソラを直してあげた。ソラはとても痛がってて、ぼくはとても悲しかったけど、ソラが直って本当によかった。ぼくは、ごめんね、もうはなしたりしないからねって、直ったソラをぎゅっとした。ソラはぼくの顔をなめてくれた。ぼくはもう、ぜったいソラにひどいことはしない。

あのカナヅチでソラが直ったってことは、これで叩けばおばあちゃんの病気も直してあげられるのかなあ?

8月17日 木曜日

今日は計算ドリルを進めた後、おばあちゃんに病気が直ったらどうしたいか聞いた。おばあちゃんは、またみんなでお出かけしたり、ぼくたちにお手玉を教えたり、アヤカがもう少し大きくなったら、おさいほうを教えてあげたいって言ってくれた。

今週の土曜日は、お父さんはお仕事だし、お母さんはアヤカを連れて同そう会に行くって言ってたから、その日におばあちゃんを直してあげよう。帰ってきておばあちゃんの病気が直ってたら、みんなびっくりするだろうな。

8月19日 土曜日

今日はおばあちゃんを直してあげた。おばあちゃんがお昼ねしてる時に、起こさないように部屋に入ったら、部屋には、お水とコップとお薬と、ぼくたちに見せてくれてたお手玉がおいてあった。ぼくはそれを見て、早く元気にさせてあげなきゃと思った。

おばあちゃんを叩いて直してあげたら、おばあちゃんは飛び起きて、ノブくんどうしたのって聞いてきた。ぼくが、おばあちゃん体はもうだいじょうぶ? って言ったら、おばあちゃんはふしぎそうな顔で体を動かして、病気が直ってることに気づいたみたい。もしかしてノブくんがやったの? って聞かれたけど、ぼくは、ないしょだよって答えた。おばあちゃんは少し泣きながら笑って、ぼくをぎゅっとして、ありがとうって言ってくれた。その後家に帰ってきたお父さんもお母さんも泣いてよろこんでた。またおばあちゃんの元気な顔を見られてよかった。

8月22日 火曜日

今日はひみつ基地でユキくんとハルオと遊んだ。ジュースとおかしを食べながらおしゃべりしてたら、基地にそろそろ新しい子をつれて来たいなってハルオが言ってきた。ユキくんは、でも三人と一匹だけのひみつ基地じゃなかったのって言ったけど、ぼくも新しい子とも遊びたかったから、そのうちユキくんも分かってくれた。

だれをさそうか話し合ったけど、他に来てくれそうな子が居なかったから、ぼくはアヤカを連れて来てもいい? って聞いてみた。アヤカはおとなしくて、お母さんやほかの子に基地のことを言わなさそうってユキくんもハルオも分かってたから、二人ともいいよって言ってくれた。楽しみだなあ。

その後、基地の近くでサッカーボールをけって遊んでたら、ボールを基地のかべに当てちゃって、ちょっとだけ基地がかたむいちゃった。そのままにしてきちゃったけど、だいじょうぶかな? でも、基地はじょうぶに作ってたはずだし、明日直せばいいや。

8月23日 水曜日

今日はひみつ基地にアヤカを連れて行った。アヤカは、ぼくたちのひみつ基地を見て、すごいって言ってくれた。アヤカに基地を見せてあげた後は、山の中で、みんなで木登りや虫取りをして遊んだ。それで、ひと通り遊びおわったら飲み物がなくなっちゃって、ぼくとハルオが家から取ってくることになった。

基地にもどる時、ソラがほえる声が聞こえたから、走ってひみつ基地のとこまで行ってみたら、アヤカが基地の下じきになってた。そのとなりで、ケガをしたユキくんが泣いてたから、どうしたのって聞いてみた。そしたら、ユキくんが外におしっこしに行って帰ってきた時に、入り口に頭をぶつけちゃって、それで基地がくずれちゃったんだって。ユキくんのケガはその時にできたみたい。ぼくは、きのうボールをぶつけた時に基地が弱くなってたのかな、ぼくの作り方がいけなかったのかな、入り口をもっと大きく作っとけばよかったのかなって考えたけど、とにかくアヤカを助けなきゃと思った。

ハルオは大人の人をよんだ方がいいんじゃないかって聞いてきたけど、それだと基地のことがバレちゃうから、ぼくたちで何とかすることになった。ユキくんとハルオに手伝ってもらって、とちゅうでハルオが基地のはへんでケガしちゃったけど、なんとかアヤカをひみつ基地から出してあげられた。アヤカは頭から血が出てて、泣きもしないで動かなかった。ぼくは泣きながら家にカナヅチをとりに行った。

大急ぎで基地にもどって、ユキくんとハルオには少しはなれたところで待っててもらった。ハルオは、どうするんだって聞いてきたけど、ぼくは二人にいいからって行ってもらった。その後、アヤカをカナヅチで叩いて直してあげて、ソラの時みたいにアヤカをぎゅっとして、ごめんね、ごめんねってアヤカにあやまった。そしたら、アヤカもいっしょに泣いちゃった。

その後、ユキくんとハルオが待ってるところに行ったら、二人は元気になってるアヤカを見ておどろいてた。色々聞かれたけど、二人がカナヅチをほしがっちゃうといけないから、ないしょだよって答えた。ぼくは、そうだと思って、二人に目をつぶってもらって、二人のケガも直してあげた。二人ともふしぎそうな顔をして、ノブヤがやったのかって聞いてきたけど、みんなには言っちゃだめだからねって答えといた。二人はそれ以上聞いてこなかった。ひみつ基地は台なしになっちゃったけど、アヤカを助けてあげられて本当によかった。

8月27日 日曜日

今日は家族みんなで夏祭りと花火大会に行った。夏祭りでは、かき氷を食べたり、金魚すくいをやったり、おもちゃを買ってもらったり、お父さんに教わって射的をやったりした。おばあちゃんは、ぼくたちが遊ぶのをうれしそうに見ながら、大好きだったリンゴあめを食べてた。

お祭りのとちゅう、アヤカはわたあめを食べてたけど、そのうちほしい物を見つけてどこかへ走って行っちゃって、道の石につまづいて顔から転んじゃった。みんなは、すぐにアヤカのところへ行って、顔をすりむいてないか、わりばしを口にさしてないかって聞いたけど、アヤカは全然そんなことなくて、わたあめ落としちゃったって泣いてた。お父さんとお母さんとおばあちゃんは、わたあめならまた新しいの買ってあげるからってアヤカをあやしてた。アヤカにケガがなくてぼくもホッとした。アヤカは泣き虫だけど、じょうぶだなあ。

花火大会は近所の川の近くで見た。近くの人たちもいっぱい来てて、ユキくんやハルオたちとも会った。家族みんなで花火が見られたから、ぼくは本当にうれしかったし、花火は去年よりもきれいだった。みんなで来れて本当によかった。

家に帰って、夏祭りで買ったおもちゃであそんでたら、テレビの部屋のかべに穴を開けちゃった。お父さんに言えば直してくれたかもしれなかったけど、おこられたくなかったから、こっそりカナヅチで叩いて直しといた。

はみがきしてベッドに入る前、頭とのどが痛かったから、これ夏カゼ引いちゃったかなって思って、カナヅチで自分の頭を叩いた。そしたら痛くなくなったから、やっぱり夏カゼだったんだ。早めに直しといてよかった。

以上は金山 伸哉氏の2006年の夏季休業中に書かれた日記です。その10年後である2016年に伸哉氏によって個人的に書かれた日記の抜粋を以下に掲載します。

8月11日 木曜日

母さんがずっと大事に使っていたティーカップが粉々に砕かれていた。当然母さんは怒って、家族全員を問い質したけど、誰も知らないという。もちろん俺もそんなことをするはずがないし、ソラだってやらないだろう。じゃあ一体誰が?

その後、母さんはひどく残念そうにしながら、ティーカップの残骸を処分した。あのティーカップは彩夏が生まれたあたりの年に、結婚記念祝いの品として買って大切にしていた物らしい。ということは、もう16年近くもあのカップを使っていたことになる。落としても傷一つ付かない頑丈なカップだったはずなのに、なんで壊されてしまったんだろう? そういえば俺も昔あのカップを落としたことがあったような気がするけど、どうだったか。よく覚えていない。

8月14日 日曜日

今日はじいちゃんの墓参りに行った。そうしたら、じいちゃんの墓がバラバラに壊されていた。霊園の管理事務所に問い合わせてみても、わかってるのは何か強い衝撃を加えられて壊されたってことくらいで、誰がやったかまではわからないという。とんでもない事をする奴もいるもんだ。じいちゃんが生きてる時は俺はまだ小さかったから、じいちゃんのことはよく覚えてないけど、それでも家族の墓が壊されれば俺だって悲しい。きっとじいちゃんたち怒ってるだろうな。

結局、墓石は修理せずに新しいのを建てることにしたらしい。俺は三日前のティーカップのことを思い出した。あれも粉々に壊されてたな。

8月16日 火曜日

ソラが殺された。カナヅチか何かで何度も何度も殴られてグチャグチャになってたそうだ。警察は通り魔の仕業だろうと言ってたけど、俺にはそうは思えない。ソラがどれだけ痛い思いをしたことか。ソラは俺が生まれたときに父さんが家に連れてきた家族だった。だからソラと俺はずっと一緒だった。18年も長生きしてたのに。大切な家族を殺した犯人は絶対に許せない。

カナヅチと言えば、昔山で見つけたあのカナヅチは今どこにやっただろうか。あれもカナヅチだから気になると言えば気になるけど、でも多分ただの偶然だろうし、今回の件とは無関係だと思う。確か夏休みが終わってからどこかに仕舞ったっきり触ってなかったな。多分まだ捨てずにそのまま家に置いてあるはずだ。倉庫か押し入れの中だろうか。

あれからもう10年も経ったのか。ばあちゃんは死にかけてたのが嘘みたいに元気になったし、彩夏は高校生になった今もずっと柔道を続け、とうとう黒帯まで結んでしまった。あれだけ泣き虫だった彩夏が今じゃすっかり強気で明るい妹になってくれて、俺は本当に嬉しい。そして当の俺は今年大学受験を控えている。だから、ソラが殺されたのは悲しいし悔しいけど、いつまでもそうは思っていられないし、昔みたいに遊んでばかりもいられない。ソラだって天国で俺のことを応援してくれてると思う。この夏が勝負だ。ソラの為にも頑張ろう。

8月19日 金曜日

ばあちゃんが死んだ。カナヅチか何かで滅茶苦茶に殴られて殺されたらしい。この間まであんなに元気だったのに。ばあちゃんが家に一人でいる時を狙うなんて。でも、窓を割られたとか鍵を壊されたとかの形跡は何一つ見つからなかったそうだ。

ばあちゃんが死んで一番悲しんでたのは彩夏だった。彩夏は昔、俺と一緒にばあちゃんにお手玉を教わってたし、彩夏が中学生になって、ばあちゃんは彩夏に裁縫を教えようとしていた。けど、彩夏はその時反抗期で、「そんなの別にいいよ」って教わるのを断ってた。それが高校生になって、ちょっとだけばあちゃんに裁縫を教わる気になったらしい。その矢先に今回の件だ。「なんでもっと優しくしてあげなかったんだろう」ってわんわん泣いてた。アヤカだけじゃない、俺だってばあちゃんは大好きだった。どうして死んじゃったんだろう。

関係ないと思いたかったけど、やっぱりあのカナヅチのことが気がかりだ。明日にでも捜してみよう。

8月20日 土曜日

父さん母さんも、ソラとばあちゃんが立て続けに殺されたから、かなり参ってる。今日は母さんが父さんに「あんたがやったんじゃないの」と問い詰めていた。そりゃ父さんは大工だからカナヅチくらい持ってるけど、絶対にそんなことするはずがない。彩夏は割といつも通り明るく振る舞ってはいるが、多分かなり無理して皆を元気づけようとしてるんだろう。悲しいのは彩夏も一緒だ。どうしてこんなことになったんだ。

押し入れの奥からあのカナヅチが見つかった。カナヅチには血が付いていた。ずっと仕舞ってあったのになんで? 気味が悪いし何か引っかかる。とりあえず、ひとまずカナヅチの血を拭いて机の引き出しに仕舞っておいた。昔はあのカナヅチで色んな物を直してたな。もう10年も前のことだったからよく覚えてないけど、本立ての板を直したのが最初だったか? そういえば壊されたティーカップも墓石も一度カナヅチで直したことがあったような気がする。そうだ、俺ソラとばあちゃんもあのカナヅチで一度治してたんだ。あれは夏休みのいつだった? 確かソラを治したのがお盆の何日か後だったから、8月15日、いや16日? その週の土曜日にばあちゃんを治そうと思って、調べてみたら2006年の8月16日が水曜だったから、ばあちゃんを治したのは三日後の8月19日か。

どうして今まで気づけなかった? 10年前、俺は他に何を直してた? なんでだ、全然思い出せない。

8月22日 月曜日

家に帰ってきたら、また父さんと母さんが喧嘩をしていた。彩夏は部屋に閉じこもって泣いていた。俺も自分の部屋で着替えて、ここ何日かに起きた色々な事を忘れるために勉強に取り組むことにした。最近なんだか俺の服が少なくなったような気がする。洗濯中だったっけ?

ばあちゃんが殺されたのは悲しいけど、俺の家族はまだ父さんと母さん、それに彩夏がいるじゃないか。彩夏はこの10年間、風邪の一つも引かないし擦り傷一つ作らないほど元気だった。しかもあいつは柔道黒帯じゃないか。頭のおかしい奴に襲われても自分で返り討ちにできるはずだ。頼む。そうであってくれ。

ずっと柔道をやってたのに擦り傷一つ作らなかっただって?

8月23日 火曜日

予備校から帰ったら家にグチャグチャがぶちまけられていた。グチャグチャのそばには真っ赤になった黒帯があった。カナヅチでグチャグチャを何度も何度も必死に叩いた。グチャグチャは、もう元には戻らなかった。

そういえば、10年前の今日は、秘密基地の下敷きになった彩夏を、カナヅチで治したんだっけ。

8月25日 木曜日

机の中のカナヅチを見た。あのカナヅチは血でべったりしてて、こんどは肉みたいなのもついてた。ちゃんとしまってあったのになんで? 何をたたいたんだ? だれをつぶしてきた? だれがこんなこと



おれか

金山氏の住居及びその周辺地域では器物損壊及び殺害事件が連続して発生しており、これらの事件の発生日時は日記に記述されているものと一致します。しかしながら、その時点ではSCP-1706-JPが事件の捜査線上に浮上することはありませんでした。なお、崩落事故の二日後、現場に残されたDNA、被害者の死亡推定時刻、伸哉氏が当時通っていた予備校への事件当日の伸哉氏の出席時間及び金山氏・谷川氏・岡部氏の自宅から予備校までの距離、伸哉氏の自室跡から発見された衣服に付着した血液から、8月23日に発生した金山 彩夏氏・谷川 優希氏・岡部 晴夫氏の殺害事件は金山 伸哉氏による犯行であることが発覚しました。発見された衣服はビニール袋に包まれており、付着した血液を調査した結果、血液からは金山 彩夏氏、谷川 優希氏、岡部 晴夫氏、金山 多恵氏、そしてイヌのDNAが検出されました。これらのことから、彩夏氏以外の一連の器物損壊及び殺害事件も伸哉氏による犯行であり、また、上記の日記の内容と併せて、金山氏の自宅の崩落も同様に伸哉氏及びSCP-1706-JPが関与していたとの見方が有力視されています。これを受けて、崩落事故についてはカバーストーリー「施工不良」が適用されました。なお、SCP-1706-JPに更なる異常性が存在する可能性を考慮し、現在実験に於いてSCP-1706-JPによる殴打を行われた対象及び殴打を行った対象については、少なくとも10年間の経過観察が実施されています。

上記の事実が判明した後、金山 伸哉氏の捜索を行ったところ、金山氏の自宅付近の山中から、頭部をハンマーと思われる鈍器で数十回殴打された状態で死亡している伸哉氏が発見されました。伸哉氏の死亡推定時刻は事故当日である8月27日の21時頃であり、また、伸哉氏の遺体が非異常性のハンマーを握り締めていたこと、ハンマーに付着した血液が伸哉氏自身のものであったことから、伸哉氏の死因はハンマーを用いて自身の頭部を激しく殴打したことによる自殺と考えられています。